ゲームマーケット2016秋 新作トランプ拡張ゲーム「パナマ」製作話 BS01+評価
東京ゲームマーケット2016秋に出展した。
新作トランプ拡張ゲーム「パナマ」の主に製作面の記事を残します。
◆3Dプリンタ BS01◆
【本体】ボンサイラボ BS01 ABS/PLA シングルヘッド 89800円(税込)
【サイズ】横250x奥400(フィラメント含む)x高400
【造形テーブル下地】 buildtak
【ノズル径】0.4mm
【積層ピッチ】0.1mm
【ケース】温度変化を起こさないようにAmazonダンボールと透明プラ板でケースを自作
【スクレーバー】オルファ 56B
◆3Dプリンタ製パナマ オリジナルカードスタンド◆
厚さ0.1~0.5mmの紙・プラスチック製のトランプを
カードのみを持ってもスタンドが取れないくらいのほどよさで挟み込むカードスタンドです。
3Dプリントを安定させるために
3Dプリンタのヘッドがなるべく一筆書きとなるようにモデリングをしました。
覚悟はしていましたが、かなりデリケートなもので
最終的なモデリングや設定に行き着くまでかなり試行錯誤を繰り返しました。
ゲーム1セットに赤青黒白の各色5個ずつの計20個必要です。
最終的に試遊品やサンプル提供品含めて40セット作りましたので
延べ800個作りました。
◆10個生産あたりにかかる時間◆
3Dプリント:1時間50分
バリとり、やすりがけ:20分
機能性チェック:10分
1セット20個分作るのに4時間40分
800個作るためにはかかった時間は
2時間20分×80=約184時間
◆メンテナンス◆
過渡期の家庭用3Dプリンタなので定期的なメンテが必要です。
これも大変でした。
bs01を使うに当たって行う必要が出てくるメンテは
頻度の順に
1 プーリーベルトテンション張り直し
2 スライダー部芋ネジ締め直し
3 台座調整
4 筐体ネジ締め直し
5 グリス塗り直し
6 モーター部芋ネジ締め直し
という感じでした。
MDF合板製ではなく、アクリルのidboxだったら3の筐体ネジ締め直しの間隔はもっと長くなるかもしれません。
最終的には、駆動音でどこらへんが調子悪くなってきているか分かるようになりました(マジで)
◆不良品率◆
モデリングや各種設定が決まり、大量生産体制になってからの集計です。
形状がいびつになったり、カードスタンドとしての機能性を満たせなかったもの: 3個
プリント中に失敗したもの: 10個(1つ剥がれたものが他を巻き込んで10個全滅)
プリント後の引きはがしで損傷したもの: 2個
15 / 815 * 100 = 1.840%
となりました。
他と比較できないのでなんですが、家庭用3Dプリンタとしては、低いと思います。
bonsai labさん & s labさん、良い仕事していますね。
◆台との吸着◆
生産するものが薄くデリケートなものなので
台との吸着の調整にもかなり手間取りました。
①吸着が弱いと印刷中に剥がれて大惨事
②吸着が強いと台から剥がす(収穫)の際にカードスタンドに力がかかり曲がってしまう
というジレンマがありました。
・台座の温度
・台座とノズルの距離最適化
・フィラメントの押し量
を調節してこの動画の状態までもっていくことができました。
◆BS01評価◆
【良いところ】
・他の国産外国産(安かろう悪かろうは除く)の3Dプリンタが30万円程度の価格帯の中
ABS/PLA組立モデルが89,800円(税込)と低価格
・横250x奥400x高400のコンパクトサイズ。デザインもかわいい。
・ゲムマ春、ゲムマ秋の大量造形でも故障(ノズル詰まりなど含む)を起こさなかった。
・国内メーカー国内生産、国内コミュニティがしっかりしている。
【残念なところ】
・満足いく造形をするにはBuildtakは必須。ポリイミドテープ張りは苦行でした。
・メンテナンスが必要となる間隔が短い気がします(他プリンタとの比較はしていません)
・筐体がMDF合板
・本体に電源ON/OFFスイッチがなく、コンセント抜き差しで電源ON/OFFしなくちゃいけないところ
(私はコンセントタップ自体にスイッチがあるものを使いました)
【総評】
買って良かったです。家庭用3Dプリンタとしてコスパは相当に高いと思います。
300時間以上動かしていましたが、パーツ取り替えや修理を必要とするような致命的な故障はありませんでしたし。
ゲムマ2016の春秋ともにこの3Dプリンタで作品を作りきることができて、良い体験ができました。
生活の役に立つ機能性をもった小物やスペアパーツとかも作り続ける事ができます。
◆ゲムマ結果◆
で、肝心のゲムマ結果なのですが・・・1/3だけ売れました。
英語マニュアルは完全に自己満足で終わりました。
面白いゲームを頑張って作ったつもりですが、創作と商売は難しいですね。
それでも、ブースに来ていただいた方々のお陰で楽しかったですし
手伝ってくれたり、アドバイスをくれた方々にも感謝です。
3Dプリンタを使った同人製作の大先輩「石膏粉末工房」さんと
製作面の話ができたのがとても有意義でした。
家庭用3Dプリンターは
大量生産こそ向きませんが、同人創作活動のよき助っ人となってくれるので
活用するサークルが増えたら
きっともっと多種多様なアイデアが生まれてくると思います。
完全オーダーメイド品として
出展したラミィキューブスタンドは結構喜んでいただけました。
500以上あるサークルのうち、オーダーメイド品を出していたのは
自分のサークルだけだったんじゃないかな?と自画自賛してみます。
ここまで読んで下さった方で
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“ゲームマーケット2016秋 新作トランプ拡張ゲーム「パナマ」製作話 BS01+評価” に対して1件のコメントがあります。